幸運を呼ぶ雄鶏の伝説
ポルトガル北部の町 バルセロシュには
こんな伝説があります。
ポルトガル北部の町 バルセロシュにはこんな伝説があります。
これは、ポルトガル北西部ミーニョ地方の町バルセロシュの黒い雄鶏にまつわるお話です。
昔々、ミーニョ地方のバルセロシュでは楽しく穏やかに人々が暮らしていました。
ところがある日、町一番のお金持ちの家から銀食器ひと揃えが盗まれるという
とんでもない事件が起きました。
町中大騒ぎとなりましたが、犯人の見当などつくはずもなく、
人々の間には不安や疑いが広がり始めました。
それでも自分たちの中に盗人がいるとは思いたくありませんでした。
ちょうどその頃、国境の向こうにある聖地を目指して巡礼中の一人の青年が町の宿に泊まっていました。
人々はこの青年が犯人だと決めつけ、判事に告げました。
青年は無実を訴え続けましたが、とうとう牢屋に入れられてしまいました。
町の人々も判事も一安心し、判事の家では予定していた友人たちとの夕食会が始まりました。
このために用意していた鶏の丸焼きもこんがりと美味しそうに焼けています。
一方、牢屋に入れられた青年は、どうしてももう一度判事に無実の証明をしたいと繰り返していました。
仕方なく判事もこれを聞き入れ、青年は判事とその友人たちの前に連れてこられました。
が、実のところ青年には何もよい策がありませんでした。
あたりを見回し、運を天に任せて思い切って言いました。
「僕が無実だということは、その鶏の丸焼きが今ここで三度鳴くということと同じくらい確かです」
あまりにばかげた言葉だと判事が改めて青年を牢屋に入れるよう命じかけたその時、
なんと鶏の丸焼きは立ち上がり、コッコロコッコーと三度鳴いたのです。
そこで青年は釈放され、無事に巡礼の旅を続けることができました。
こんな話が伝えられ、バルセロシュの雄鶏は
「真実は何ものにも勝り、それによって幸運はもたらされる」
ということを思い出させる象徴となっています。
現在ではバルセロシュで作られた<幸運を呼ぶ雄鶏>の置物は、ポルトガル中のどの家にも飾られています。
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